2023年03月02日

令和5年度税制改革について②

・相続時精算課税制度

60歳以上の父母、祖父母から18歳以上の子・孫が贈与を受けた際は、暦年課税(年間110万円迄の贈与は贈与税非課税)のみでなく、「相続時精算課税制度」も選択することが出来ます。(※どちらかとなります。)

注意点としては、一度「相続時精算課税制度」を選択すると、選択した年以降、暦年課税制度が二度とつかえなくなるということです。

この制度の適用を受けて贈与された財産の累計が2500万円に達するまでは贈与税は非課税で、2500万円を超えた部分に対しても一律税率20%となっています。

但し、この制度を利用して贈与を受けた財産は、相続開始の何年前から贈与されたかに関わらず、全額が相続税の課税対象となっています。

この点からこれまで相続時精算課税制度は、課税の繰り延べであり節税には直接繋がらない制度と言われてきました。
これが令和5年の税制改正により、現在の基礎控除額の2500万円とは別に毎年、贈与税の課税価格から110万円を控除することが出来るようになります。

この110万円以下の部分は申告も不要です。
さらに、将来的に相続税の課税対象としての持ち戻しは毎年の110万円を控除した後の残額の合計額となります。

この改正は令和6年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る贈与税・相続税について適用となります。


また、これまでは相続時精算課税制度の適用財産は評価時点が贈与時の価額で相続税の課税対象となっており、贈与後に贈与された不動産が災害等により被害を受けても、それによる評価減は一切考慮されておりませんでした。

改正後は、令和6年1月1日以降被相続人(贈与者)の申告期限までに上記のような被害を受けた場合は、贈与時の価額から災害によって被害を受けた部分に相当する額を控除した残額が相続税の課税対象となりました。

これも納税者側には有利な改正です。
今回は「相続時精算課税制度」の改正について書かせていただきました。

知っていると知らないとでは事前の対策が違ってきますので、自分の相続はどうなるのか、どうした方が良いのか、考えたり、専門家に相談するきっかけにされてみてください(^^)/
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