2026年10月06日

省エネ基準適合義務化の影響について【買主が中古住宅を選ぶ際のポイント】

「2025年4月からすべての新築住宅で省エネ基準適合が義務化されたって聞いたけれど、いま持っている中古住宅の売却にも影響があるの?」

「築年数の経った住宅だと、この影響で値崩れしたりするのでは……」


最近、ご自宅の売却を検討されている売主様からこのようなご相談をいただく機会が増えました。


結論からお伝えすると、中古住宅そのものに今すぐ改修義務が課されるわけではないですが、買主の住宅ローン控除や税制優遇に直結しているため、中古住宅を売却する際のスピードや成約価格に大きくしてきている、というのが実務の現実です。


今回は、改めて近年の法改正の内容を整理したうえで、築年数が経った住宅でも買主に選ばれるためのポイントを分かりやすく解説します。

1. 何が変わった? 省エネ基準をめぐる法改正のポイント

脱炭素社会の実現に向け、建築物省エネ法や関連法令の改正が段階的に進んでいます。

〇 2025年4月施行:原則すべての新築住宅で「省エネ基準適合義務化」

 
これまで適合義務が免除されていた小規模な木造住宅を含む、ほぼすべての新築住宅で省エネ基準への適合が義務化されました。これに伴い、「建築確認申請の手続き(4号特例の見直し)」も大きく改定されています。


 〇中古住宅への直接的な改修義務は「なし」

 
既存の中古住宅を売却する際、売主が自腹で断熱改修などを施して基準に適合させなければ売ってはいけない、という法的な縛りはありません。現況のままでも売却活動は可能です。


「それなら中古の売却には関係ないのでは?」と思われがちですが、実は買い手側(買主)が住宅を購入する際の資金調達(住宅ローン等)の環境に大きな変化が起きています。 

2. 売主に直撃する2つの影響:なぜ中古住宅が「選ばれにくく」なるのか?

中古住宅の売却において、省エネ性能の有無が影響する理由は主に2つあります。

① 買主が使える「住宅ローン控除」の借入限度額の差


購入検討者の多くは「住宅ローン控除(減税)」を計算に入れて予算を組みます。


中古住宅の場合、物件が省エネ基準を満たしているか(長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH水準、省エネ基準適合住宅など)によって、控除対象となる借入限度額に明確な差が設けられています。

〇 省エネ基準に適合している住宅:借入限度額が高く、買主の所得税・住民税の還付メリットが大きい


〇 省エネ基準を満たさない「その他の一般住宅」:控除限度額が低く抑えられる


※中古住宅(における住宅ローン控除の借入限度額と最大控除額(控除率0.7%・期間10年間)の差は
最大70万円(借入限度額で1,000万円分)の開きが生じます。
  

買い手目線で見ると、「同じような価格・立地であれば、住宅ローン控除がしっかり受けられる省エネ性能の高い物件を選びたい」と考えるのが自然です。

 

② 新築やリノベ済み物件との「体感・光熱費」の比較


新築住宅の性能基準が底上げされたことで、一般消費者の間でも「断熱性」「窓の二重サッシ(複層ガラス)」「毎月の光熱費削減」への関心が急速に高まっています。


「冬寒く、夏暑い古い家」は内覧時の印象で敬遠されやすくなっています。

3. 省エネ基準義務化で、買主に選ばれる3つの対策

では、築年数40年近い、昭和・平成に建てられた住宅を売却する場合、売主はどう動くべきでしょうか。


対策①:既存の図面や確認申請書から「性能」を掘り起こす


ハウスメーカーや一定の工務店で建てられた住宅の場合、新築当時の設計図書や仕様書を確認すると、すでに当時の省エネ基準や断熱仕様を満たしているケースがあります。


証明書の発行が可能かどうか、売却開始時に専門会社と一緒に書類を確認しておくことが第一歩です。


対策②:「断熱・窓リフォーム補助金」を活用した提案


購入後に買主が自ら断熱改修を行うことを前提に売り出す手法です。


国や自治体では、窓の断熱改修(内窓設置など)や高効率給湯器の設置に対して手厚い補助金事業(先進的窓リノベ事業など)を継続して実施しています。


「現況渡しですが、国の補助金制度を活用すれば実質負担を抑えて快適にリフォームできます」という具体的な試算を提示することで、買い手の購入意欲を後押しできます。
 
 
※補助金には自治体によって金額の上限枠や要件が必要な場合がある事も多いので、 売却予定の住宅のある自治体の担当や専門家に確認の上、ご提示ください。



対策③:建物状況調査(インスペクション)で安心感をプラスする


省エネ性能だけでなく、雨漏りや構造耐力上の欠陥がないことを証明する「建物状況調査(インスペクション)」を事前に実施しておくことも有効です。


建物のコンディションが透明化されている物件は、購入希望者がリフォーム計画を立てやすく、引き渡し後の契約不適合責任トラブルも防ぎやすくなります。(※本ブログ前項ご確認ください)

4. 売主が知っておくべき今後の法改正(予定)

省エネ関連の法改正と並行して、不動産を所有・売却するすべての方に関わる登記のルールも大きく変わっています。

〇 2026年4月施行「住所・氏名変更登記の義務化」


 
引っ越しや婚姻等で登記簿謄本に記載された住所・氏名に変更がある場合、変更から2年以内の登記手続きが義務付けられています(正当な理由のない不申請には5万円以下の過料規定あり)。


住み替えで新居へ移動する際や、過去に住所を移したまま放置している不動産を売却する際は、前提登記の漏れがないよう注意が必要です。


〇  2030年に向けたさらなる省エネ基準の引き上げ

 
国の方針として、2030年には新築住宅の省エネ基準が「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準」まで引き上げられることが目標に掲げられています。


新築の性能基準が上がるほど、未対策の中古住宅とのギャップが広がるため、築古物件はリフォームして今後も使用する、住み替えが必要なら賃貸、売却等、早めの判断・決断が有利に働きます。

まとめ:わが家の現在地を把握することから

省エネ基準の義務化は、中古住宅にとって決して「売れなくなる」制度ではありません。
 

大切なのは、

「自分の物件の耐震性の有無や構造上大きな不具合はないか、基準に適合しているか否か」を把握しておくということです。



物件の図面確認からインスペクションの手配、売却時は買主目線に立った戦略のご提案まで、専門会社ならではの視点でワンストップでサポートいたします。



「うちの家はそのまま売れる?」「住宅ローン控除の対象になる?」など、気になる疑問がございましたら、どうぞ気軽にご相談ください。

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