2026年10月13日

築20年超の戸建てを適正な価格で売却したい!

建物状況調査(インスペクション)」と既存住宅売買瑕疵保険

「築20年を過ぎた木造住宅は、建物の価値がゼロと査定されるって本当?」
 

「古い家だから、大幅な値引き交渉をされたり、売った後に欠陥が見つかってトラブルになったりしないか心配……」

築年数を経た戸建ての売却を検討される売主様から、こうした不安のお声をよくいただきます。
 

確かに古い商慣習では「木造戸建ては築20〜22年で建物価値がほぼゼロ」とみなされ、土地代だけで買い叩かれるケースが少なくありません。今でも地方ではそのような慣習が残っている事もあります。 
 

 また、一般的な戸建て住宅はマンションのように構造上重要な部分のメンテナンスや設備の入れ替えを行っているという方はごく少数の為、いざ「売却」という場面になって初めて修繕や交換など、建物の状態の事が心配になってきます。


過去の相談では、その不安な時に、業者に「年々価値は下がっていくので早く売った方が良い」「古いのでトラブルになるより買取をおススメします」という言葉に反応し、過去に安く(本来の価値とは大きく差がある)売ってしまうところだった売主さんもいらっしゃいました。

しかし、中古住宅市場を取り巻く法制度や取引トレンドは大きく変化しています。


その鍵を握るのが、「インスペクション」と「保険」です。


築古住宅でも安易な値下げを防ぎ、納得のいく成約価格を実現するための戦略を分かりやすく解説します。  

1. 築20年超の家は買い叩かれやすい?

築20年を超えた戸建てに対して、購入検討者が最も二の足を踏む理由は「古いから」ではありません。


「見えてない部分にどんな欠陥が潜んでいるか分からないから」です。


これから住む購入者は、下記のようなことに特に敏感です。 内覧時に下記の状態であるだけで、様々な憶測をされてしまします。


〇雨漏りやシロアリ被害が隠れていないか・・・天井や床に水シミ、山林が近い地域など


〇柱や基礎の強度は保たれているか・・・窓や各ドアが開きにくい、基礎にクラック(ひび割れ)がある


➡結果、入居後に相当な修繕費がかかるのではないか、と想像させる。
買い手にとってこの「見えないリスク」は大きな恐怖です。


その結果、「補修費用を見越して、価格を数百万円値引きしてほしい」という大幅な価格交渉につながってしまいます。


 逆に言えば、事前に売主側で「建物の健康状態を専門家が客観的に証明する」ことさえできていれば、買い手の不安は消え、適正価格〜強気の価格設定でも選ばれる物件に生まれ変わります。


重要な点は、「後手に回らず先に売主側で調査しておく」 ということです。

その①:建物状況調査(インスペクション)で透明化する

インスペクションとは、国の登録を受けた専門の建築士(既存住宅状況調査技術者)が、建物の基礎、外壁、屋根、床下、小屋裏などを目視や計測機器を用いて客観的に検査する調査です。


〇宅建業法における義務化の流れ

宅地建物取引業法に基づき、不動産会社には以下の対応が法律で義務付けられています。

1. 媒介契約締結時:インスペクション業者のあっせん(手配)可否を売主に告知する

2. 重要事項説明時:調査を実施している場合、その結果を買主に書面で説明する


法制度としても「建物の状態を事前に確認して売買する」ことが標準ルールとなっていますが、「インスペクション」自体を行わなければならないという義務ではない事に注意です。


知らなければ「インスペクション業者の斡旋はおこなわない」という説明とその理由だけでこの部分はさらっといかれてしまいますので、建物の状態が気になる方で、もし媒介業者からインスペクションの詳しい説明がない場合は、売主側から「業者をあっせんして欲しい」等の声掛けが必要になってきます。
 

〇売主にとってのメリット

1. 価格の根拠ができる:「築年数は経過していますが、専門家の調査で構造・防水ともに問題なしと判定されています」と胸を張って提示できるため、理不尽な値引き要求を突っぱねることができます。


2.
 契約不適合責任の予防:民法上の「契約不適合責任」では、契約書に書いていない欠陥について売主が損害賠償や修補の責任を負います。調査で現状を把握し、告知書に正しく記載しておくことで、売却後の金銭トラブルを未然に防げます。

 

その②:既存住宅売買瑕疵(かし)保険で「物理的な安心」を作る

インスペクションで一定の基準を満たした場合、「既存住宅売買瑕疵保険」に加入することができます(または買主が加入できる適合証明書を取得できます)。


これは、引き渡し後に万が一「構造耐力上主要な部分の欠陥」等が見つかった際、補修費用などを保険金でカバーできる制度です。 

買主の資金計画を強力に後押しする

この保険が付帯できる(または検査適合している)物件は、買い手にとって絶大な魅力があります。


 万が一の補修リスクへの補償:入居後の予期せぬ修繕費負担を回避できる


 各種税制優遇・住宅ローン控除の要件クリア:築年数が経過した住宅でも、耐震性や品質の証明として機能し、買主側の税負担軽減や住宅ローン審査のスムーズ化を後押しする



「保証が何もない築古物件」と「専門家の検査済みで保険適格の物件」が同じエリアに並んでいた場合、買い手がどちらを優先するかは明白です。

まとめ:調査費用は「適正価格で売却するための先行投資」

建物状況調査の費用は一般的な戸建てで5万〜10万円前後です。(調査費用、保険費用)


一見すると売主様の持ち出し費用に思えますが、これを行うことで

「安易な値引き交渉を防ぐ」


「引き渡し後の賠償リスクを限りなくゼロにする」


何より「安心」という大きなリターンが得られます。


「うちの家は古いから売れない」と諦める前に、まずは専門家による現状把握から始めてみませんか?
 
 
(※民間で行うインスペクションと保険に加入できる既存住宅建物状況調査は異なりますのでご注意ください。)  

ページの先頭へ